近年の舞台照明では、照明卓と灯体をつなぐ方法として「ネットワーク」が欠かせない存在になっています。特にETCのEosファミリーでは、ネットワークを使うことで大規模な現場や複数卓での運用がスムーズになります。今回は、そのネットワークとは何か分かりやすくご紹介します。
ネットワークとは?
ネットワークとは、複数の機器(ノード)が相互にデータをやり取りできる仕組みです。照明の世界では「卓」「ノード(ゲートウェイやノード機器)」「灯体」などがネットワーク上でつながり、照明データがやり取りされます。
主な用語を簡単にまとめると:
- IPアドレス:機器ごとの住所のようなもの
- スイッチ:ネットワークの分岐点、信号の交通整理をする装置
- プロトコル:通信のルール。代表的なものに「sACN」「ArtNet」など
なぜEosでネットワークが重要なのか?
Eosコンソールは、単純にDMXケーブルでつなぐだけでなく、ネットワークを利用することで次のようなメリットを得られます。
- 大規模な出力に対応:数百台〜数千台の灯体を扱う現場で安定した制御が可能
- 複数卓での共同作業:メイン卓とサブ卓を同期させ、複数のプログラマーが同時に作業できる
- バックアップ運用:万が一メイン卓がトラブルを起こしても、ネットワーク上の別卓が自動で引き継ぐ
ネットワークの構成要素
Eosで使うネットワークは大きく以下の要素で成り立っています。
- スイッチ:小規模なら「アンマネージドスイッチ」、大規模なら設定可能な「マネージドスイッチ」が必要
- 配線:一般的にはCAT5e/CAT6ケーブル(LANケーブル)を使用
- プロトコル:Eosでは特に「sACN(Streaming ACN)」がよく使われ、照明のレベル情報をリアルタイムで伝送
- ワイヤレス:無線接続も可能ですが、安定性を求める現場では有線が基本
マルチコンソール運用
大規模な公演では、1台のEosだけでなく複数のコンソールを組み合わせて使います。
- セッション:複数のEos卓をネットワークでつなぎ、1つの現場を共同で制御
- 役割分担:メイン卓(プライマリ)、バックアップ卓、クライアント卓に分かれて運用
- 拡張処理(Expansion Processing):出力を複数の卓に分散し、処理能力を強化
まとめ
Eosとネットワークを正しく組み合わせることで、舞台照明はより効率的で安全、そして柔軟な運用が可能になります。ネットワークは難しそうに見えますが、基本を押さえれば現場での強力な武器になります。