~多様なLED機材に対応する色の扱い方~
舞台照明における「色の制御」は、感情や雰囲気を観客に届けるうえで欠かせない重要な要素です。近年、LEDやムービングライトの進化により、色の制御方法もより多様かつ繊細になってきました。今回は、ETCの照明卓「Eos」シリーズにおけるカラーコントロールの基本についてご紹介します。
LED機材とカラーの種類
近年主流となっているLEDライトは、基本的に加法混色(Additive Mixing)によって色を表現します。RGB(赤・緑・青)をはじめ、以下のような拡張型も多く見られます:
- RGBW(White追加)
- RGBA(Amber追加)
- RGBAL(Amber+Lime)
- RGBWAL(White, Amber, Lime)など
特にETCのSource Four LED Series 3などでは、Green, Lime, Blue, Indigo, Cyan, Amber, Red, Deep Redといった複数波長の素子を使用し、より高精度な色再現を可能にしています。

一方で、プロファイル系のムービングライトにはCMYカラーミキシング(減法混色)を採用している機種も多く、Eosはどちらにも対応できる柔軟性を備えています。

Eosコンソールでのカラー操作の基本
Eosでは、各機材のカラーパラメーターを「Colorカテゴリ」に分類して操作します。
カラーに関するパラメーターは、次のような方法で制御できます。
1. 【Color Picker】で視覚的に選ぶ
Eosではカラーピッカー(ホイール型)を使って直感的に色を選択できます。選択したチャンネルに対して、リアルタイムで変更が反映されます。

2. 【Encoder(エンコーダー)】で直接数値を操作
エンコーダーを使用すると、各色の個別値(例:Red 40%、Blue 70%など)を細かく調整できます。RGB、CMY、HSI(Hue/Saturation/Intensity)など、機材がサポートしているモードによって表示項目が変わります。


対応しているエンコーダーを操作して数値を調整できます。
3. 【カラーピッカー】で色相・彩度・明度で操作
多くのLED機材は、カラーピッカーによる制御にも対応しています。Eosはこれに対応しており、Hue(色相)をぐるりと回して選ぶ感覚でカラー操作が可能です。


機材によって異なるパラメーター構成
Eosは、パッチ済みの機材のプロファイル(Fixture Profile)に基づいて、正確なカラーパラメーターを表示・制御します。たとえば、Source Four LED Series 3では、LimeやDeep Redなどのパラメーターが表示され、RobeやMartinなどの他社製品も対応パラメーターが自動で反映されます。
これにより、機材ごとの異なるLED素子構成にも柔軟に対応できます。
カラーパレットでのプリセット管理
調整した色は【Color Palette】として保存しておくと、再利用や再現が簡単になります。特にミュージカルや演劇のように、毎回同じ色で再現する必要がある現場では、パレットの活用が非常に効果的です。
- [Record] → [Color Palette] → 任意の番号 → [Enter]
- 【By Type】を使うと、同じ機種すべてに共通のパレットとして適用できます。
まとめ
Eosシリーズは、RGBからCMY、HSI、複数波長LEDまで、多種多様な色制御方式に対応しています。視覚的な直感操作から数値による精密調整まで、状況や現場に合わせた使い方ができる点が大きな魅力です。
LED照明が一般化しつつある今、Eosのカラーコントロール機能をマスターすることは、舞台照明のクオリティを一段階引き上げる鍵となるでしょう。
ご質問や導入に関するお問い合わせは、日本コーバン舞台照明事業部までお気軽にどうぞ。
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