【Eos Tips】キューの編集と「Make Absolute」「Break Nested」の使い分けを解説!

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こんにちは。日本コーバンのトミーです。

今回は、ETC Eosファミリーコンソールをお使いの皆様に向けて、「作成済みキューの編集方法」と、少し混乱しやすい {Make Absolute}{Break Nested} の違いについて、実践的な視点で解説いたします。

これらは、再演やオペレーション中の微調整において非常に役立つ知識ですので、ぜひ最後までご覧ください。


作成済みキューの編集方法【Live画面編】

Eosコンソールでは、Live画面で現在のキューを再生中に、チャンネルの値を変更し、それを既存キューに上書きすることが可能です。

目次

編集の基本ステップ

  1. 対象チャンネルの値を変更(例:フォーカスを修正、色を変更)
  2. [Update] を押す
  3. CIA画面で「更新先のターゲット」が表示される
  4. 必要に応じてスタイルを選択
  5. [Enter] で確定

Update使用時のスタイルオプション一覧

更新時に表示されるオプションには、以下のようなスタイル選択肢があります:

オプション名内容
{All}変更をすべて絶対値としてキューに記録
{Ref Only}パレットやプリセットなどの参照元のみを更新(キュー側の値は変更なし)
{Make Absolute}参照を切り、現在の値を絶対値としてキューに記録
{Break Nested}プリセットやパレットなどネストされた参照構造をすべて解除し、値を記録

Make Absoluteの使い方と効果

記録されたキュー内に「Color Palette 1」などの参照が含まれていた場合に、そのパレットへのリンクを解除し、現在の数値(絶対値)として記録しなおす機能です。

🟦 具体例:

  • Cue 1 に「Color Palette 1」が使われていた
  • 色を修正し、[Update]{Make Absolute} を選択すると…

🔹 Color Palette 1 の参照が解除される
🔹 現在の色の値が Cue に絶対値として直接記録される
🔹 他のキューが Color Palette 1 を使っていても影響なし

✅ これは「1階層の参照」を解除したいときに使う方法です。


Break Nested の使い方と効果

ネスト(入れ子)された参照、つまり「プリセットの中にパレットが使われている」ような構造に対して使えるのが {Break Nested} です。

🟨 具体例:

  • Cue 1 に「Preset 10」が使われていた
  • Preset 10 の中に「Color Palette 1」が使われていた
  • この状態で [Update]{Break Nested} を選ぶと…

🔸 Preset 10 の参照も解除
🔸 その中の Color Palette 1 も解除
🔸 最終的に すべての値が絶対値として Cue に記録される

✅ これは「多層構造の参照(ネスト)を展開」したいときに有効です。


比較まとめ

比較項目Make AbsoluteBreak Nested
主な対象単一階層のパレットやプリセットの参照複数階層のネストされた参照
処理内容参照を解除して絶対値で記録すべての参照階層を展開し、絶対値で記録
使用タイミング一部だけ参照を切りたいとき複雑な構造を一度ばらして、そのキューだけ独立させたいとき

おまけ:他のUpdateスタイルとの違い

  • {All} を選ぶと、変更内容すべてを絶対値で上書きします。参照の有無にかかわらず、今見えている値がすべてそのまま記録されます。
  • {Ref Only} は、あくまでパレットやプリセットの中身を更新するだけで、キュー自体の記録は変わりません

[Record Only]で部分的に上書きする方法(選択的ストア)

現在の手動値だけがキューに追加・上書きされます。他のチャンネルや再生中の他キューの影響は受けません

  1. 変更したチャンネルだけを選択
  • 例)[1] [Thru] [5] [Color] [55] [Enter]

2. [Record Only] [Cue] [番号] [Enter] [Enter]

  • 現在の手動値だけがキューに追加・上書きされます。他のチャンネルや再生中の他キューの影響は受けません​

Blind画面でオフライン編集する方法

  1. [Blind] を押して編集したいキューを選択。
  2. 表示形式(テーブル、スプレッドシートなど)で変更を加える。
  3. 変更は 自動で保存 されます([Record]や[Update]は不要)。

⚠ 編集したキューが再生中でも、Blindでの編集はステージに即時反映されません。ライブ画面に戻り編集したキューへ移動し確認をしてください。


まとめ

Eosのプログラミングは、柔軟である反面、参照構造が複雑になりがちです。

  • ✅ 単純な参照の解除 → {Make Absolute}
  • ✅ ネストされた参照の解除 → {Break Nested}
  • ✅ 一括で上書き → {All}
  • ✅ 参照元だけ更新 → {Ref Only}

これらをうまく使い分けることで、より効率的でトラブルの少ないプログラミングが可能になります。


今後も、日本コーバン舞台照明事業部では、実務に役立つETC Eosの使い方を定期的に紹介してまいります。

ご質問や取り上げてほしいテーマがあれば、ぜひ質問・リクエストにてお寄せください!

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この記事を書いた人

こんにちは、Tommyです。日本コーバン株式会社の舞台照明事業部で働いています。舞台照明、特にミュージカルやお芝居が大好きで、大学時代にはブロードウェイミュージカルへの情熱からアメリカに留学しました。大学ではもちろんシアターを専攻し、そこで照明デザインやプログラミングを学びました。

休日にはブロードウェイミュージカルを観に行くのが趣味で、頭の中はいつもお芝居と舞台照明のことでいっぱいです。今、特に力を入れているのは、ETC Eosという照明卓の素晴らしさを広めること。このブログを通じて、照明やプログラミングがもっと身近になるように、そして皆さんの作品作りに少しでも役立てるよう、頑張りたいと思っています。

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