――「新機能」よりも“安心して使うため”の重要アップデート
2025年12月にリリースされた ETC Eos v3.3.4。
このバージョンアップ、一言でいうと👇
「派手さはない。でも“現場で困るポイント”を確実に潰した、非常に重要なパッチアップデート」
です。
今回は、
- どんな人がアップデートすべきか
- 何が直ったのか
- 現場では何が良くなるのか
を、Eosを使う照明オペレーター/プログラマー目線で解説します。
まず結論:v3.3系を使っている人は「基本アップデート推奨」
ETCの公式リリースノートでも、
「Eos v3.3 系を使っているユーザーは、できるだけ早く v3.3.4 にアップデートすることを推奨」
と明記されています。
理由はシンプルで、
現場で実際に起きていた“厄介な不具合”が複数修正されているからです
Eos v3.3.4 の位置づけ
👉「新機能追加」ではなく「安定性重視」のアップデート
v3.3.4 は Patch Build(パッチビルド) と呼ばれる種類のアップデートです。
つまり、
- ❌ 新しい派手な機能が増える
- ❌ 操作方法が変わる
ではなく、
- ✅ バグ修正
- ✅ 動作の安定化
- ✅ “たまに起きていた困りごと”の解消
が主目的です。
本番を抱える現場にとっては、むしろ一番ありがたいタイプのアップデートですね。
特に重要な修正ポイント(現場目線で解説)
① チャンネル数が多いキューで「Mark が変なタイミングに出る」問題の修正
1000チャンネル以上を含むキューで、Mark が正しいキューで開始されない場合がある
という、地味だけど怖い不具合が修正されています。
これ、何が怖い?
- 大規模リグ
- ムービングが多い公演
- マークキューをしっかり組んでいる現場
では、
👉 「あれ? 今マークするはずじゃないよね?」
という挙動につながる可能性がありました。
v3.3.4 では、この挙動が修正され、
意図したキューで確実に Mark が走るようになっています。
② Mark × Intensity Delay の組み合わせで Mark がスキップされる不具合
- インテンシティが フェードアウト中
- その状態で Mark付きキューが Go
という条件が重なると、
Mark が実行されずにスキップされるケースがありました。
これも、
- 転換が多い演目
- Delay / Fade を細かく組んでいる現場
では、地味にストレスになるポイント。
v3.3.4 ではこの問題も修正されています。
③ 壊れたショーファイルを読み込んだ時に「フリーズする」レアケースの修正
頻繁ではないものの、
- USB からコピーしたショーファイル
- 他卓・他環境から持ってきたファイル
などで、
ショーファイル読み込み時に卓が固まるという報告がありました。
v3.3.4 では、
👉 「壊れたショーファイルを読み込んでもハングしない」
ように修正されています。
④ Effect / 表示系の細かいバグ修正も多数
そのほかにも、
- Effect Editor でパターン表示がおかしくなる
- Encoder や Channel 表示が指数表記(e+04)になる
- マルチコンソール接続時の表示ズレ
など、
「たまに起きると地味に困る」系の不具合がまとめて修正されています。
じゃあ、新機能は何もないの?
v3.3.4 単体では大きな新機能追加はありません。
ただし重要なのは👇
👉 v3.3.0〜3.3.3 で追加された機能を“安心して使える状態”にしたのが v3.3.4
という点です。
- Expansion Processing
- Magic Sheet の進化
- Fader タブ改善
- Fixture Wizard
といった v3.3 系の目玉機能を、
本番環境でより安全に使うための土台が整いました。
注意点:Apex ユーザーはファームウェアに注意
一点だけ注意事項があります。
Apex で「Apex Target Key 1×10(NKK)」モジュールを使っている場合、
ファームウェア更新は ETC テクニカルサービスへの相談が推奨されています。
Apex ユーザーの方は、
アップデート前に一度確認するのがおすすめです
まとめ:Eos v3.3.4 は「安心して本番を迎えるためのアップデート」
✔ 派手な新機能はない
✔ でも、現場で“ヒヤッとする可能性”を確実に減らしてくれる
✔ v3.3 系を使っているなら、アップデート推奨
Eos は「止まらない」「意図通りに動く」ことが何より重要な卓です。
v3.3.4 は、その信頼性をもう一段引き上げるアップデートと言えるでしょう。
▶ 舞台照明事業部としての一言
Eos はアップデートごとに
「新しいことができる」だけでなく、「安心して任せられる卓」へ進化しています。
これから導入を検討している方も、
すでに現場で使っている方も、
ぜひ v3.3.4 の安定感を体感してみてください。

