舞台照明でムービングライトやLEDを扱うとき、「暗い間に次のシーンの準備をしておく」 という作業は欠かせません。
Eosコンソールにはこれを自動化する 「Mark(マーク)」 機能があり、演出をなめらかに見せるために重要な役割を担っています。
その中でも便利な機能の一つが 「Mark Earliest(マーク・アーリエスト)」 です。
今回は、この機能がどのように役立つのかをご紹介します。
Markを押すとソフトキーに「アーリエスト」がでてきます。

そもそも「Mark」とは?
「Mark」とは、明かりが消えている間に、次のキューで必要なポジションや色を仕込む機能です。
たとえば、ムービングライトを使ったシーンで、観客に見せたくないライトの動きや色替えを、暗転中にすませておけるのです。
これにより、ライトが点灯した瞬間にはすでに準備完了。舞台上で余計な動きが見えず、自然でスムーズな転換が可能になります。
Mark Earliest の役割
通常の「Mark」では、どのキューでスタンバイを入れるかをユーザーが指定します。
しかし、これには次のような問題がつきまといます。
- 「どこから暗くなっているのか」を見落とすリスク
- 指定ミスによる仕込み漏れ
- 複雑なキュー構成の中での混乱
そこで登場するのが Mark Earliest です。
動作イメージ
例えば、次のようなキューリストがあったとします。
- Cue 2:チャンネル1が0%になる(暗くなる)
- Cue 3、4:暗いまま
- Cue 5:チャンネル1を100%に上げる
ここで Cue 5 から 「[1] [Mark] {Earliest} [Enter]」 と入力すると、Eosは自動的に Cue 3 を「マークの開始地点」と判断します。
つまり、一番早く暗くなったタイミング(Earliest) でスタンバイを仕込んでくれるのです
なぜ大事なのか
Mark Earliest のメリットは大きく3つあります。
- 効率性
どのキューに仕込むべきかを探さずに済むので、プログラミングがスピーディー。 - 安全性
ブロックされたキューや一時的なゼロ値をまたいでも、Eosが正しく「最も早いゼロ」を見つけてくれる - 信頼性
本番中に「仕込みが間に合っていない!」という事故を防ぎ、確実に暗転中で準備を完了させられる。
マクロでさらに便利に!
Mark Earliest はとても強力ですが、毎回コマンドを打つのは少し面倒に感じるかもしれません。
そんなときに役立つのが マクロ です。
たとえば、
- 「明るくなりながら動いたチャンネルを選んでEarliestでマークする」
といったマクロを作っておけば、ボタン1つで一括処理が可能になります。

これにより、仕込みのスピードが格段に上がり、オペレーションのミスも減らすことができます。
特に仕込み時間が限られた現場や、チャンネル数が多い大規模公演では、マクロ活用は大きな武器となります。
まとめ
「Mark Earliest」は、“できるだけ早いタイミングで安全に仕込みを行う” ための便利な機能です。
特に、キュー数が多い舞台や、複雑なトラッキングが絡むシーンでは大きな力を発揮します。
舞台照明の現場で「お客さんに余計な動きを見せない」ことは非常に重要です。
そのための強力な味方が、この Mark Earliest なのです。
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